夏は「戦争」を振り返る季節です
毎年この時期になると、新聞やテレビなどで戦争に関する特集や特別番組が行われます。
今年は第二次世界大戦が終わって70年目の節目の年でもあります。
「戦争」は、日頃から意識しなければならない問題ではありますが、つい日常に流されてしまうという方も多いのではないでしょうか。
この節目の年のこの夏に、改めてじっくり考えてみるのも良いのかもしれません。
そこで今回は、第二次世界大戦をテーマにした漫画を紹介しましょう。
第二次世界大戦をテーマにした漫画作品を紹介
1.戦空の魂
最初は集英社「スーパージャンプ」などで連載されていた『戦空の魂』(天沼俊)です。コミックスは『戦空の魂』が全12巻、『戦空の魂 -21世紀の日本人へ』が全3巻です。
日本軍を舞台にしたオムニバス作品
『戦空の魂』は、第二次世界大戦時の日本軍を舞台にしたオムニバス作品です。
当時の日本軍は陸軍と海軍に分かれていましたが、主人公は双方で戦闘機などに乗るパイロットを主人公としています。
青い目の日本人も
コミックス10巻「哀しき祖国」には、イタリア人と日本人のハーフの主人公、千野富士人が登場、日本の軍人として活躍しつつも、幸せではなかった生い立ちなども描かれています。
舞台が舞台だけにハッピーエンドとなる作品は少ないのですが、苦境にありながらも懸命に頑張る主人公達の姿は心に迫るものがあります。
戦空の魂(10)-eBookJapan
http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/15552.html?volume=10
2.ジパング
次に講談社「モーニング」で連載されていた『ジパング』(かわぐちかいじ)です。
コミックスは全43巻です。
イージス艦が第二次世界大戦にタイムスリップ
物語は海上自衛隊のイージス艦「みらい」が第二次世界大戦中にタイムスリップするところから始まります。
当初は過去の世界に不介入を通すはずだったものの、1人の軍人を救ったことから時代、歴史が変わって行きます。
新たな日本を見つめる1人
イージス艦「みらい」により大きく戦局が変わった結果、日本の歴史も大きく変わっていく。
そうした結果を見つめるのはたった1人の生き残りだった…。
いわゆるタイムスリップもの、架空戦記ものになるんですが、実在した人物が多数登場しているところに、魅力を感じる人も多いはず。
実際にイージス艦1艦でどこまでのことができるのか?
読者の想像力も試されるかもしれません。
ジパング(かわぐちかいじ)/モーニング公式サイト
http://morningmanga.com/lineup/3
3.特攻の島
次は芳文社「週刊漫画TIMES」で連載中の『特攻の島』(佐藤秀峰)です。コミックスは既刊7巻が発売中(以下続刊)です。

©佐藤秀峰/佐藤漫画製作所
特攻隊の隊員に志願したものの…
漫画は特攻兵器「回天」の攻撃隊に所属する隊員達を描いた作品です。
主人公の渡辺裕三は、予科練から特攻隊に志願したものの、必ず死ぬ兵器に疑問を抱きつつ、訓練を続けていきます。
重苦しい雰囲気
仲間や発案者達の思いを知った渡辺は、悩みながらも特攻に行くことになります。
一旦は生き延びた渡辺ですが……。
戦争をテーマにした作品ですが、先の2作と異なり、華々しいシーンは皆無と言っても良いでしょう。
終始、重苦しい雰囲気に包まれながらも、こうした状況があったと認識する手助けとなる作品です。
特攻の島(佐藤秀峰)/週間漫画TIMES
http://shukanmanga.jp/work_list/work/?no=05
4.海賊と呼ばれた男
最後は講談社「イブニング」で連載中の『海賊と呼ばれた男』(原作:百田尚樹、作画:須本壮一)です。
同名小説が原作で、コミックスは既刊4巻(以下続刊)です。
出光佐三がモデル
石油企業「出光興産」の創業者である出光佐三をモデルにしたもので、これまでの3作と異なり、第二次世界大戦をやや後方から眺めた形の物語になっています。
人間尊重
漫画は戦後の復興期から始まりますが、過去を振り返る形で、戦前や戦中の様子が描かれます。
そうした中で主人公の国岡鐵造は、「人間尊重」の考えで苦境を乗り越えていきます。
光の当たりにくい兵站(補給や輸送など)を描いているため、派手さとは無縁ですが、人間ドラマとしては極上の作品です。
原作小説は本屋大賞を受賞し、映画化の話題も出ているので、読んだ人も多いでしょう。
小説を読んだ人にも、ぜひ一読して欲しい漫画です。
海賊と呼ばれた男(原作:百田尚樹、作画:須本壮一)/イブニング公式サイト
http://evening.moae.jp/lineup/346
【Q】「第二次世界大戦」をテーマにしたマンガを読んだことはありますか?
マンガに関するアンケート
対象条件:日本全国のモニターさん
回答者数:1000人(調査日:2015/7/31)
普段はあまりマンガを読まないという方でも、戦争をテーマにした作品は読んだことがあるという方も多いようです。
読まれている作品は『はだしのゲン』や『紫電改のタカ』、また記事中でも紹介した『戦空の魂』や『特攻の島』も挙がっていました。
戦争を経験していない世代の我々だからこそ、こうした作品を通してでも(デフォルメや創作の面ももちろんありますが)戦争を考える必要があるのではないでしょうか。