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「公務員は不動産投資に向いている」という話を、一度は目にしたことがあるかもしれません。収入が安定していて、金融機関からの評価も得やすい。だいたいそうした文脈で語られます。
ただ、この説明はかなり大づかみです。ひとくちに公務員といっても、本省庁の職員と、市役所の職員と、学校の先生と、消防士とでは、働き方も、異動の頻度も、平日に自分の時間を取れるタイミングも違います。検討を進めるときに引っかかるポイントも、そこに応じて変わってきます。
この記事では、公務員を職種ごとに分けて、それぞれどんな前提で考えることになるのかを整理します。あわせて、兼業に関する規程との関係と、相談先を選ぶときに見ておきたい点にも触れます。
目次
- 公務員と不動産投資の相性
- 職種別に見た前提の違い
- 兼業に関する規程との関係
- 相談をどう進めるか
- 相談先を選ぶときの確認ポイント
- まとめ
- 監修者
公務員と不動産投資の相性
公務員がこの文脈でよく取り上げられる理由は、大きく2つに整理できます。
ひとつは、収入の見通しが立てやすいことです。給与体系が公表されていて、年功に応じた昇給の幅もおおよそ読めます。何年後にどのくらいの収入になっているかを、本人も金融機関も想定しやすい立場だといえます。
もうひとつは、雇用が安定していることです。景気の変動によって収入が大きく振れる可能性は低く、20年、30年という長期のローンを前提とする投資とは、期間の面で噛み合いやすい面があります。
ただし、これは審査に通りやすいことを保証するものではありません。融資の条件は勤務先の属性だけで決まるものではなく、勤続年数や既存の借入状況、物件そのものの評価など、複数の要素をあわせて判断されます。公務員だから必ず良い条件が出る、というものではない点は押さえておきたいところです。
また、条件が整いやすいことと、いま始めるべきかどうかは別の話です。住宅の購入や教育費の支出が近いのであれば、そちらを優先する判断も当然あります。ライフステージのどの段階にいるかによって、答えは変わってきます。
監修者コメント|勝治 寛氏
ご相談を受けていて感じるのは、「公務員は有利」という前提だけが先に立っている方が一定数いらっしゃることです。有利に働きやすい要素があるのは事実ですが、それは物件を選ぶ基準とは別のものです。条件が整いやすいからこそ、物件そのものを見る目を持っていただきたいと思っています。
職種別に見た前提の違い
同じ公務員でも、勤務の実態は職種によって大きく変わります。おおまかに整理すると、次のようになります。
| 勤務時間の性質 | 異動・転勤 | 相談時間の確保 | |
|---|---|---|---|
| 国家公務員(本省庁) | 国会の会期中や予算編成期に業務が集中しやすい | 2〜3年周期。出向や地方勤務を挟むことがある | 繁忙期と閑散期の差が大きい |
| 地方公務員(自治体) | 部署による差はあるが、比較的定時に近い運用の職場もある | 同一自治体内が中心で、転居を伴う異動は比較的少ない | 平日夜・週末を確保しやすい部類 |
| 教員 | 授業のほか校務分掌や部活動。土日に活動が入ることがある | 自治体内での異動が中心 | 平日夜・週末ともに埋まりやすい |
| 警察・消防・自衛官 | 交代制勤務や当直を含む | 職種による。自衛官は転居を伴う異動が比較的多い | 平日日中に空く日がある一方、週末は読みにくい |
この違いは、2つの場面で効いてきます。
ひとつは、物件をどう管理するかです。異動や転勤の可能性が高い職種の場合、物件の近くに住み続けられるとは限りません。自分で入居者の対応をする自主管理は現実的でなくなり、管理会社に委託することが前提になります。そうなると、委託先の管理体制が運用そのものを左右することになります。
もうひとつは、相談をいつ進めるかです。交代制勤務であれば平日の日中に時間が取れる日もありますが、週末が読みにくくなります。教員のように平日夜も週末も埋まりやすい職種であれば、まとまった時間を取ること自体が難しくなります。相談先を選ぶときに、対応できる時間帯が自分の勤務と噛み合うかどうかは、思っている以上に大きな要素です。
なお、ここで整理したのはあくまで一般的な傾向です。実際の勤務実態は、所属する組織や部署、職位によって大きく異なります。ご自身の状況に当てはめて読んでいただければと思います。
監修者コメント|勝治 寛氏
転勤の可能性がある方から、「遠方になったら物件はどうなるのか」というご質問をよくいただきます。管理を委託していれば、物理的な距離は運用の支障になりません。むしろ確認していただきたいのは、委託先が入居者募集や設備対応をどこまで担ってくれるのかという範囲のほうです。
兼業に関する規程との関係
公務員が不動産投資を検討するときに、最初に気になるのがこの点だと思います。

まず前提として、公務員には兼業を制限する規定があります。国家公務員は国家公務員法第103条・第104条、地方公務員は地方公務員法第38条が根拠となり、営利企業の役員を兼ねることや、報酬を得て事業に従事することには、承認や許可が必要とされています。
そのうえで、不動産の賃貸については、一定の規模を超えない範囲であれば自営には該当しないという整理が示されています。国家公務員については人事院規則14-8とその運用通知に、判断の目安が定められています。一般に知られているのは、独立家屋であれば5棟以上、独立家屋以外であれば10室以上、賃料収入が年額500万円以上といった基準です。これらに該当する場合は、承認の手続きが必要になるという建て付けです。
ただし、ここから先は慎重に読む必要があります。
地方公務員については、各自治体が独自に基準を定めています。人事院規則の内容を参考にしている自治体が多いものの、そのまま適用されるわけではありません。承認が必要となる範囲も、手続きの流れも、自治体によって異なります。
また、規模の基準を下回っていれば何も必要ない、と読めるとは限りません。届出を求める運用をしている組織もありますし、管理を委託しているかどうかを確認事項としている場合もあります。相続で取得した場合の扱いが別途定められていることもあります。
この領域は、一般的な解説記事の内容をそのまま自分に当てはめられる性質のものではありません。検討を始める段階で、ご自身の所属先の規程を確認し、人事担当部署に相談しておくことをおすすめします。あとから問題になるより、先に確認しておくほうが確実です。
なお、ここで挙げた基準は執筆時点のものです。運用の見直しがおこなわれる可能性があるため、実際の判断にあたっては最新の規程をご確認ください。
相談をどう進めるか
規程の確認と並行して、情報収集を進めることになります。
平日の日中に動きにくいという制約は、多くの公務員に共通します。不動産会社の営業時間が平日の日中だけであれば、相談のたびに休暇を取ることになり、それだけで検討が止まってしまいます。
このため、相談先を検討する段階で、対応可能な時間帯を確認しておくと進めやすくなります。夜間や週末に対応しているか、オンラインでの相談ができるか。交代制勤務であれば平日の日中に動ける日もあるので、その日に合わせられるか。自分の勤務パターンと噛み合う相談先かどうかは、早い段階で見ておきたい点です。

また、いきなり個別相談に行くことに抵抗があるようであれば、手前の段階から始める方法もあります。セミナーに参加して全体像をつかむ、資料を取り寄せて読んでみる、匿名で使えるシミュレーションツールで試算してみる。こうした手段であれば、営業を受ける前に自分のペースで情報を集められます。
セミナーについては、主催者によって内容の質はさまざまです。参加する前に、主催者の実績や、どういった立場で情報を提供しているのかを確認しておくと安心です。
監修者コメント|勝治 寛氏
「まず話を聞いてみたい」という段階で個別相談に来られると、身構えてしまう方が多いように感じます。セミナーや資料請求など、ご自身のペースで進められる入口から始めていただいて構いません。勉強のつもりで参加してみてください。
相談先を選ぶときの確認ポイント
複数の会社を比較していくことになりますが、判断の軸がないと情報量に押し流されます。次の点は共通して確認しておきたいところです。

1. 管理体制
異動や転勤の可能性がある職種であれば、ここが最も重要です。物件の管理を誰がどこまで担うのか。入居者の募集、退去時の対応、設備の不具合。どこまでが委託の範囲に含まれるのかを確認しておきます。あわせて、その会社が管理している物件の入居率が開示されているかも見ておきたい点です。
2. 実績の開示
供給してきた物件の数、事業を続けてきた年数、管理している戸数。こうした数字が公開されているかどうかは、判断材料になります。
3. 相談できる時間帯
前述の通りです。自分の勤務と噛み合わなければ、検討そのものが進みません。
4. 説明の姿勢
質問に対してどこまで答えてくれるか。リスクについての説明があるか。その場で決めるよう促されないか。持ち帰って検討したいと伝えたときの反応も、判断の材料になります。
5. 物件そのものの条件
会社の規模や知名度ではなく、提案された物件が立地や価格の面で妥当かどうか。ここが最終的な判断軸になります。
実際にどう確認すればよいか、具体的な例で見てみます。
株式会社FJネクストは、都心エリアを中心に駅近立地の資産運用型マンション「ガーラマンションシリーズ」を展開しています。企画・開発から販売までを自社で手掛けており、管理はグループ会社のFJコミュニティが担っています。同社が管理する物件の入居率は99.1%(2026年3月時点)と公表されています。
もちろん、1社だけを見て決める必要はありません。可能な範囲で他社の提案も見ておくと、比較の基準ができます。不動産投資会社の比較サイトやランキング記事も、選択肢を知るうえでは役に立ちます。そうした情報に自分なりの判断軸を重ねて確認していくのが、進めやすい方法だと思います。
監修者コメント|勝治 寛氏
他社さんと比較していただいて構いません。私たちは購入時のご提案だけでなく、運用中の管理から将来的な売却といった出口の部分まで、責任を持ってサポートしています。中長期的な視点で見ていただければ、ご判断いただける自信があります。気になることがあれば気軽にご相談ください。
まとめ
公務員といっても、職種によって勤務の実態は大きく異なります。異動の頻度、平日に時間を取れるタイミング、週末の予定の埋まり方。こうした違いは、物件の管理方法や、相談をどう進めるかに影響します。
一方で、確認すべきことは職種を問わず共通しています。所属先の兼業規程を先に確認すること。管理体制と実績が開示されているかを見ること。複数の選択肢を比較したうえで判断すること。
条件が整いやすい立場にあることは事実ですが、それは物件を選ぶ基準とは別のものです。ご自身のライフステージと照らし合わせながら、順を追って確認していくのが確実です。
監修者
勝治 寛(しょうじ かん)
株式会社FJネクスト 営業本部 アセット倶楽部課 係長
宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/AFP
資産運用型マンションの提案・コンサルティングに従事。医師、公務員、会社員など、職業や収入構造の異なる顧客の相談に幅広く対応している。不動産投資情報サイト「GALA NAVI」でも、コラムの監修・執筆を担当。