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【歴メシを実際に作ってみるシリーズ】第二話 マスタードの海に溺れ、中世イングランドの厳しさを知るの巻

ボイスノートマガジン編集部 エンタメ

独身男、中世イングランド料理を作って食べる!

歴史料理研究家の遠藤雅司さんが主宰する、昔の人たちが食べていた料理を残っている文献を手がかりに作って食べてみるというプロジェクト「音食紀行(おんしょくきこう)」。
そして、このプロジェクトと、そのイベントで再現された料理のレシピを本にまとめた『歴メシ!』。

「音食紀行」と『歴メシ!』の魅力をさらに伝えるためにはどうしたら良いか、編集部で考えに考えた結果、自分たちで歴メシを作ってみるのが良いのではないかということで前回から始まりました【歴メシを実際に作ってみるシリーズ】第2弾!

今回も、アンケートサイト「ボイスノート」で音食紀行担当のK氏が、『歴メシ!』を参考に歴メシを作っている模様をお届け致します。

関連:【歴メシを実際に作ってみるシリーズ】第一話 古代ローマの風を埼玉で感じるの巻

(壮大な音楽に乗せて)
これは、普段からまともに料理をしない三十路男のKが慣れない料理に挑み、歴メシの魅力を伝えつつ、自らの「男子力」も向上させていこうという、大歴史料理ドキュメントなのである・・!

独身男Kの2回目の歴メシクッキング

まずは改めて簡単にK氏の紹介をしましょう。

アンケートサイト「ボイスノート」で音食紀行をはじめ数々のクライアントと仕事をしているKは、埼玉県在住の三十路男。
独り暮らし歴は長いものの、食事は外食か出来合いの弁当や惣菜などで済ませてしまい、自炊は全くしていません。
彼女もいません。

部屋は、これもまたザ・独り暮らしなタイプの1K。
とは言うものの、キッチンは鍋が一つ入ればいっぱいになってしまう流しと、コンロがひとつあるのみで、とても料理がしやすいK(キッチン)とは言えませんが、前回のクッキングの時から若干料理への興味が高まってきた様子のK氏。
(KとKが入り乱れてしまい、申し訳ありません)

さて、今回作る料理は何にしようかと考えたところ、今回はすんなりK氏の一言で決まりました。

「肉の次は、魚じゃん?」

ということで今回は魚を楽しめそうな、「マスタードの海を泳ぐタラ」に決定しました!

それではK氏の奮闘ぶりをレポートしていきたいと思います。

今回は料理中に同席できなかったので、K氏が一人奮闘した模様を後からまとめる形を取ったのですが、それがまさかあんなことになってしまうとは、この時の筆者には知る由もなかったのです・・・・・。

中世イングランドの浪漫を感じる魚料理

まずは今回挑む、「マスタードの海を泳ぐタラ」のレシピを紹介しましょう。

<材料(4人前)>

タラ:200g
白ワイン:100ml
水:100ml
塩:大さじ1/2
イタリアンパセリ:1枝

ソース
粒マスタード:200g
バター:5g
塩:小さじ1/2
白パン粉:1/2カップ

つくり方

1.鍋に水、白ワインを入れ、強火で沸騰させる。
2.1にタラと塩を入れ、弱火で15分煮る。
3.ボウルで粒マスタード、バター、塩、白パン粉を合わせ、ソースを作る。
4.2の煮汁100mlをボウルに加える。
5.皿に4のソースを注ぎ、タラを盛りつける。
 イタリアンパセリを飾り完成。

以上。

前回と同じく特別な調理技術は不要の、男の料理らしい一品ですので、はりきっていっていただきたいと思います。

買い出しへ!

調理器具は既に持っているもので問題なさそうなので、今回は食品と調味料のみが用意できれば問題はなさそうです。

それでは買い出しからスタートです!

地元のスーパーでショッピング。

今回は代用品など使わず、レシピ通りの材料を用意しました!


と思ったら、おや?
イタリアンパセリがありません。

K氏に理由を聞いてみたところ、「味には影響しなさそうだから」との理由で省略したんだそうです。

『歴メシ!』のレシピと実際の料理を紹介するための企画ですから、本来は材料もきちんと再現しなくてはいけないところなのに、こんなことで良いのでしょうか。

と、今さらツッコんでも仕方ないので、進めていきましょう。

いざ調理開始!

今回は包丁もまな板も使わず、火加減やタイミングも難しくなさそうなので、前回よりもかなり難易度は低そうです。
料理経験ほぼなし男は、前回の歴メシ以来の料理ですが、おそらく楽勝でしょう。

では、いざ!

タラを煮る

まずは鍋に水と白ワインを入れ強火で沸騰させて、白ワインのアルコール分を飛ばします。

そのあと、タラの切り身と塩を入れで、15分間弱火で煮ます。

歴メシ!』によると、中世のイングランドの貴族たちの食事の多くは、派手な見た目を楽しむものだったようです。

特に色にこだわりがあり、宮廷の庭に植えられた花や植物を使って、赤や黄色、緑色などそのほかにもさまざまな色の料理を作っては、テーブルに並べていました。

また味付けは、調味料やスパイスを大量に使っていたことが分かっています。
海外から輸入していた調味料は大変高価なものでしたが、だからこそ見栄っ張りの貴族たちは率先して使い、かなり極端な味付けの料理が多かったのだとか。

中世イングランドの貴族たちにとって料理は、自分の富や権力をアピールするツールで、味よりも見栄え、華やかさを意識したものが主流でした。

そんな中、タラは好まれていた魚の一つで、文献にも頻繁に登場するのだそうです。

現代のイギリス料理でお馴染みの「フィッシュアンドチップス」のフィッシュもタラですね。

ソースを作る

タラを煮る間に、ソースを作ります。

ボウルに、ソースの材料である粒マスタード、バター、塩、白パン粉を入れて混ぜます。

まずは粒マスタード。

つづいて白パン粉、バター、塩、白パン粉投入。

これらをまぜて、ソースを作ります。

少しレシピと違うような気がしますが・・・。

盛り付け、そして完成

作ったソースを皿に注ぎます。

そして、15分煮たタラを、ソースの上に盛り付けます。

そう、それはまるで、マスタードの海を泳ぐタラ、とは言いにくいほどバラバラで無残なビジュアルになっていますが、料理経験ほぼなしの独身男の調理ですので、許してください。

最後にイタリアンパセリを乗せ・・・買ってないんだった!

ということで何だか『歴メシ!』の写真とは違いますが、完成です!

「マスタードの海を泳ぐタラ」実食!

『歴メシ!』の写真とは見た目が全く違う料理ができあがりましたが、前回は成功しているK氏の作った今回の料理。
果たして味はどうなのでしょうか。

実際に食べたK氏の感想はこうでした。

<Kの感想>
ソースが酸っぱかった。
タラ自体は美味しいのだけど、ソースと調和していないような違和感を感じた。
食べたことのない味。

『歴メシ!』を紹介する記事としてはあるまじき感想ですが、このような結果になってしまったのであれば正直にレポートするしかありません。

しかし、今回は筆者が見ただけでも気づいた杜撰(ずさん)な点がいくつもありました。
ここまであえてスルーしてレポートしてきましたが、改めて一気に指摘させていただきます。

Kがやらかした4つのこと

・材料のイタリアンパセリを買わなかった
・3の工程の後、混ぜる前に4の工程である煮汁を入れた
・煮汁を計らずに、鍋から直接入れた
・タラを、崩れないように気を配らず雑に盛った
以上。

5つしか工程のないつくり方の中で4つも間違ったことをすれば、そりゃ失敗作ができるに決まっています。

今回は前回と違い、中世イングランドの風を感じるというよりは、ただ単に埼玉の1kで自分自身を苦しめた結果に終わり、それはまるで横着なやり方をしたK氏に天罰が下ったようです。

このまま終わらせるワケにはいきませんので、この記事の最後に、筆者が改めて作った正しい「マスタードの海を泳ぐタラ」の写真も載せますのでぜひご覧ください。

料理は苦手な人ほど適当にやりがち

この大事な場面で失敗したK氏のように、料理の失敗経験がある方はいるはず。

そこで今回、音食紀行と共同で、料理への苦手意識と作り方について聞いたアンケートを実施しましたので、紹介していきます。

半数以上の人は、「料理ができる」

まずは、料理が得意かどうかについて聞きました。

実施期間:2018年3月5日~12日
対象条件:ボイスノート会員
有効回答者:1846人
あなたは料理が得意ですか?

料理を作ることが「苦手」と回答した方は46.9%と、半数近くの方は料理が苦手なようです。

料理の苦手な人ほど勘に頼りがち

そもそも、適切な量の材料と調味料を使えば、たいてい美味しいものはできます。

適切な量はレシピに載っているのですから、決まっている作り方通りに作れば、基本的に失敗することはないはずです。

でもおそらく、「苦手」という方は失敗が多い方なのだと思います。

そこで、上の質問の「得意」「得意ではないができる」「苦手」の回答者別に、初めて作る料理の作り方について聞いてみました。
作ったことのない料理を作る時、あなたはどのタイプですか?

予想通りというか、なんというか、「苦手」の方は、「全て自分の勘で作る」が64.4%もいました。
作ったことはなくても勘で作る、という方が多いようです。
苦手なのに・・・。

これまでのアンケート結果から、料理ができる人ほどレシピを大切にし、苦手な人ほど自分の勘を大切にしていることが分かりました。

苦手なのに何故勘に頼るのかは、また別の機会があれば聞いてみたいと思います。

得意な人は、気遣いの余裕がある?

料理は、単に自分のお腹を満たすために作る時もあれば、人をもてなすために作る時もあります。

料理を作る相手によって作る時の気持ちや作り方が変わるかについて聞いてみた結果を紹介します。
誰のために作るかによって、作り方は変わりますか?

「得意」の方は「とても変わる」「変わる」の合計が56.3%と半数以上。
「苦手」の方は同項目が13.1%と少数でした。

料理が得意な方は、相手によっては丁寧に、または適当にと、作り方を変える“余裕”があり、反対に苦手な人のほとんどは、相手によって作り方を変えることはしない、またはできないということのようです。

苦手な人は適当?

今回「マスタードの海を泳ぐタラ」を作ったK氏は、まさに料理が「苦手」な人で、レシピをないがしろにして作り、その結果失敗作ができあがりました。

もしかしたら、世の中の料理が苦手だという人もK氏と同じように、レシピより根拠のない自分の勘を頼った結果、失敗作を作ってしまっているだけなのかもしれませんね。

「マスタードの海を泳ぐタラ」再調理

それでは最後に、筆者による「マスタードの海を泳ぐタラ」の調理の模様をお送りして、締めたいと思います。

筆者はおいしく作れました。
タラ独特の匂いが食欲をそそります。
マスタードの酸味・辛み、そしてタラの旨みとがあいまって、ソースの量や見た目に反して、さっぱりと食べられました。
ワインを使っているため、洋風な雰囲気を感じつつ、ごはんにも合うかも、と思いました。

ということで、今回は筆者の料理で締めましたが、K氏の挑戦はまだあと1回残っています。
今度はちゃんと作ってくれるはずです!

最後は何で締めくくってくれるのでしょうか。

乞うご期待!

さあ、あなたもレッツ歴メシ!

料理ド素人のK氏が今回は失敗してしまったけど本当は簡単に作れる歴メシのレシピは、現在発売中の『歴メシ!』に載っています。

歴メシ!書影
「歴メシ!世界の歴史料理をおいしく食べる」/柏書房
http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b307564.html

『歴メシ!』は再現レシピだけでなく、古代の食糧事情や「食の革命」の話など、歴メシに関するエッセイも充実していて、歴史に詳しくない人でも楽しめる1冊となっています。

また、その著者である遠藤雅司さん主宰のプロジェクト「音食紀行」では、昔の人たちの料理を再現し、当時の音楽をBGMに食事を楽しむイベントを開催しています。

「⾳」「⾷」「紀⾏」とあるように、⾳楽と料理を通じて、時代旅⾏世界旅⾏を疑似体験できます。
単独での料理会からプロの演奏家によるコンサート付き料理会など五感で感じられるイベントに、あなたも参加されてみてはいかがですか?

音食紀行
http://onshokukiko.com/wpd1/